2013-02-02から1日間の記事一覧

(その百四)パット・ギャレット

パット・ギャレット、理想的な人殺し。公的な人物、医師の心。かれの手は毛深く、傷あとがあり、ロープで痛めつけられていて、手首に生涯消えないむらさきの痣があった。理想的な人殺しであるのはかれの心がひがんでいなかったからだ。通りでだれかを殺して…

(その六)若い芸術家

立ちどまると一面の星空とカエルたちのコーラス。やっとさがしあてた家のあたたかい電灯の光の下で、谷川俊太郎と武満徹がビリー・ザ・キッドのピストルのはなしをしていた。石原慎太郎は輪ゴムのパチンコでハエをうちおとしていた。影の方にまだ何人かいた…

(その百三)ヤニス・クセナキス

ヤニス・クセナキスは一九二二年にブライラ(ルーマニア)に生まれた。一九三二年に両親の祖国ギリシャにかえり、スペツァイ島のギリシャ・イギリス学園にはいる。十二歳のとき音楽をこころざす。一九四〇年宛ね工科大学にはいり、同時に抵抗運動にくわわる…