2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

夢と歴史のスクリーン アモス・ギタイ『フィールド・ダイアリー』(1982)

うたた寝が呼び起こした心地よい夢見心地が、ひとりの映写技師を重力から解放する。蒸し暑く狭苦しい映写室から一息に観客席をまたぐと、四角いスクリーンではおきまりの光景――美女が助けを求めて叫ぶ姿が映し出されていて、画面と距離を縮めるしかすべのな…

(その十一) 吐息

その男は、まだ二十をいくらか越えたばかりだというのに、前髪が後退しつつある事実を、セットしたことなどまるでない毛先の乱れによってことさらに誇張していた。鼻先が高く、穏やかな二重まぶたの下に宿した栗色の瞳は、ものごとをあるがままに受け入れる…

溝口健二の偽善者たち

偽善者ほど深刻な面構えをするものだ。 溝口健二は決して長かったとはいえない生涯において、一度もそのように口ずさんだことはなかった。だが、だからといって溝口がそう考えていなかったとはいえない。とりわけ晩年の、遊女・芸妓・娼婦・売春婦を描いた一…

フムフム、と呟きました

風がないだけで寒さの体感は随分異なることが、昨日と今日でわかります。小学生男子にとっていつまで半ズボンで過ごせるかは、親の制止を振り切っての教室内(時には学年内)チキンレースの如く勇猛(と無謀)を競い合う無言の儀式なのです!! 少なくとも僕が小…