(その十五) いつもよりましな自意識

 いつもよりましな自意識。心臓の鼓動は、ぼくのさまざまな望みをいつもよりよく叶えてくれそうな打ち方だ。ぼくの頭上のガス燈のシュウシュウ鳴る音。
            フランツ・カフカカフカ全集7 日記(一九一二年ニ月二六日の記述)』谷口茂訳 新潮社 一九八一年一〇月ニ〇日発行 182頁