2011-04-11から1日間の記事一覧

(その七十五) ウィドリントン夫人

……彼女は彼に愛の技術を教えた。「地獄に悪魔を全部蓄えておく炎のような情熱」を持つ彼女は、彼の愚鈍さを罵り、臆病さを笑い、最後には自分が彼に恋をした。 ヴァージニア・ウルフ『ロジャー・フライ伝』宮田恭子訳 みすず書房 一九九七年九月一二日発行 1…

(その七十四) サルバドール・ダリ

過去にさかのぼってまで「野生の状態に」ある美を識別し、同時にまたそれを本来のなかに投影してきたということが、シュルレアリスムに対して、この〈美〉の、くりかえし可能な若さの独り占めを保証するはずである。その点からして、シュルレアリスムの表現…

(その七十三) 日本の政治家

「悪いことをしても決して逮捕されないほどに悪い」――それが日本国民の思う政治家なのである。 橋本治『二十世紀』(一九七四年の項)毎日新聞社 二〇〇一年一月三〇日発行 345頁 一九七四年は、リチャード・ニクソンと田中角栄というふたりの大物が辞任した…