2011-04-05から1日間の記事一覧

(その七十一) ブラッサイ(ジュラ・ハラース)

ブラッサイの「落書き」に関する仕事で何よりも特徴的なのは、それが一挙にまとめられたわけではなく、展覧会、雑誌などで、長期にわたり断片的に発表されていったということと、その都度彼が異なるスタイルの文章を試みているということである。一九五六年…

(その二十三) テイクノート

三年前、僕の書いたものが初めて単行本になった。「作家」「先生」と呼ばれるのにあんなに憧れていたのに、書き連ねたものをまとめただけだから感慨はない。 郵送してくれればいいと言う僕に、若い編集者のMさんは「出来上がった本を著者の方にお届けするの…

(その七十) 藤田嗣治

「ただ殴らないということだけが、優しい夫ではないのよ。あなたの小父さんは、一度だって手荒なことをしたことがなかったわ。何時も何時も優しかったわ。でもね、本当には優しくなかったのよ。それが分ったのは、ずっとずっと後のことだったわ」 ユキ・デス…