(その百二十八)リー我ロイ矢ル貞男

 彼とはよく、スナックのママに霊感が強い女が多いのはなぜだろうと話し合ったものだった。当然のようにLの話になった。
後年になってLにその話をすると、手を叩いて喜んでいた。もっともLにしてみれば、彼の態度にはどこか慇懃なところがあって最後まで好きになれなかったということだったが。「少女がはすっぱな態度を取りたいがために煙草を口にくわえたときに、あいつはいつでもライターを差し出したわ。腕をいっぱいに伸ばして、にやにや笑いを打ち消したような不自然な表情で」
 私はその言い分を聞いて、私が彼らと会うずっとまえに、Lと彼とのあいだにはなにか関係があったのではないかと邪推した。