(その百二十四)アウグスト・ファルンハーゲン

 彼が好かれなかったのは、あれほど融通無碍だったくせに妙に原則にこだわる頑ななところがあるのと、まわりの雰囲気に鈍感なのと、なににつけすぐに白黒をつけたがって問題を先鋭化させてしまうせいだった。


ハンナ・アーレント『ラーエル・ファルンハーゲン』引田隆也・齋藤純一訳 みすず書房 一五三頁