(その三十五)稽古(2)
ある時、先生(福田八之助―注)からあるわざで投げられた。自分は早速起きあがって、今の手はどうしてかけるのですときくと、「おいでなさい」といきなり投げ飛ばした。自分は屈せず立ち向かって、この手は手をどう足をどういたしますと、しつこくきき質した。すると先生は「さあおいでなさい」といってまた投げ飛ばした。自分もまた同じことを三たびききかえした。今度は「なあにお前さん方がそんなことをきいて解るものか、ただ数さえかければ出来るようになる、さあおいでなさい」とまたまた投げつけた。こういうあんばいで、稽古はすべてからだに会得させたものだ。