2012-06-17から1日間の記事一覧

(その三十一) ヘンリー・ダーガー

山手線の車内。水玉模様のミニスカートをはいた女の子。父親と祖母といっしょに行楽にでかけた女の子は、朝方降っていた雨が止んだことをとても喜んだが、折りたたみの傘が邪魔になった。同じ水玉模様で揃えられた傘は、しばらく女の子の手のひらでもてあそ…

(その三十) 慣れ

「そんなことだろうと思ってたよ」と期待してた表情も見せず、にんじんはそっけなく答える。 にんじんはそれに慣れている。ある事柄に慣れると、それがついにはちっとも可笑しくはなくなるのだ。ジュール・ルナール「にんじん」 佃裕文訳(『ジュール・ルナ…