2010-09-15から1日間の記事一覧

(その二十九) グロリア

グロリアにとっては、私は庭のようなものだ。草取りをしたり、剪定したり、結んだり、しぼんだ花を取り除いたり、アリマキを退治したりする必要がある。ときどき私がフォークを右に、ナイフとスプーンを左にセットすると、もう何十年もやっているのにどうし…

(その二十八) 二葉亭四迷

私が二葉亭を珍重おかないのは、彼が矛盾と撞着に満ちた人だからである。空想家でありながら、空想家でないと言いはってきかない人だからである。 文学は男子一生の事業でないと彼は口で言うばかりか本気で思って、国事に奔走するのが男子の本懐だと信じてい…