2010-07-31から1日間の記事一覧

(その十) 三島由紀夫

わたしの見たところでは、三島の政治的発言の骨格は、すべて、悪とかユートピアとか自己暗示という範疇に属するもののように思われます。もし、政治というものが社会的現実に有効に働きかける技術であるとするならば、三島は自分の行為を完全に政治的有効性…

(その十二) ヒール(プロレスラー)

映画といっしょで、(プロレスも)同じことを何度も見せられたらお客は飽きる。常にエスカレートしなければならない。2インチ×2インチのボードをリングに持ち込んだら、次は2インチ×4インチのボードで叩き、その次は5寸釘で刺さなければならない。この…

(その二) 長崎丸山

長崎丸山には揚屋がなく、唐人、紅毛人が立ち寄る出島があった。遊女は、第二次世界大戦後の横浜で白パン黒パンと言われたように、外国人の肌の色によって、それぞれに相手をする専門を分けていた。とりわけ唐人の相手を務めることは、覚悟のいることだった…

(その十一) ユダヤ人

われわれは、自分が何者だか自由に決めたり、自分の好きなように生きたりできなくなればなるほど、見栄を張り、事実を隠し、役割を演じるようになる。われわれがドイツから追放されたのはユダヤ人だったからである。しかし、フランスとの国境線を越えるとす…

(番外編一) 肖像

まさに王子たちが多くの歴史家によって一貫性を持って描かれているとしても、それは、ひとが思うように、王子たちが注目の的であり、容易に知ることができるからそうなっているのではなくて、最初に描いた者は、ほかのみんなに模写されるからである。リヴィ…