(その三十九)吝嗇

 彼は、自分の食卓から落ちこぼれたものを、さもしく拾いあつめて喰う。そのため、やがて上の食卓で食べることを忘れてしまい、そのためパン屑も落ちてこなくなる。

    フランツ・カフカ「罪、苦悩、希望、真実の道についての考察」(『決定版カフカ全集第三巻』所収)飛鷹節訳 新潮社 一九九二年一〇月一〇日発行  三五頁