日本代表についての覚書@6/28

ドイツvsイングランドは4‐1でドイツの大勝に幕を閉じました〓後半イングランドの崩壊っぷりと、ドイツのパスワークの素晴らしさに圧巻〓朝にはアルゼンチンが勝ち抜けていることでしょう〓

日本が復調したのは中村が出なくなったからだと言われていますが、僕はそうは思いません。そのような見方が大衆的に受けることもあり、メディアでは使われていますが正確に言えば異なります。この見方はフットボールの捉え方をキャラクターベースにしているとなりやすいかもしれません。キャラクターベースとは、戦術云々ではなく誰がいるから強いなどキャプテン翼的発想や誰がいるからこの布陣といった権力構造だと思ってください。
そもそも直前の壮行試合を終えスイス入りした時点で、中村(以下、茸)と内田は体調不良でした。そして、この二人(だけではありませんが)はWC予選の主軸でありオシムから岡田になった後のターニングポイントとしても目玉でした。
ここまで岡田なりに目指すフットボールを実現しようと取り組んできましたが、なかなか結果が出ないことと直前の辛い敗戦、主要メンバーの怪我によりスタメンを代える必要性に迫られます。そこで試されたのが本田ワントップのベタ引き布陣でした。しかし、この布陣で戦ったイングランド戦とコートジボワール戦で思いがけず〓素晴らしい連携が見られました。そこにはメンバーが代わったことも大きくありましたが、ヨーロッパ入り直前の敗戦により自分達とそのフットボールを選手達自身で振り返り話し合い、できること・目指すこと・改善点(現状認識→課題発見→改善)などを見つける場がもたれた(らしい)ということがあります。これによりコミュニケーションが大きく変化した模様で、それはそのままプレーにも表れました。わけのわからないパス回しとシュートを打たないためのフリーランニングを繰り返すチームが、相手の裏へ裏へボールを送り、走り込む姿が見られるようになったことからも伺えます。また、大きく報道されましたが初戦のカメル
ーン戦時には、国歌が流れる際にベンチを含め全員が肩を組みキックオフ直前には円陣を組んで試合に臨む姿もこの一例でしょう。こうした諸々の変化がまずあげられます。加えて戦術面で、闇雲に前からボールを追うのではなく一定ラインをチームで決めてそこより前に来たら当たりにいくや最前線の一人にあてて押し上げるという非常にシンプルな(かつ最も優先順位の高い)約束事を得たことなど、自分達の体力とプレー幅に見合った戦術をとるようになったことも大きな一因です。
これらがよい形で絡み合った結果として、日本は復調しました。もちろん本田圭祐の大活躍やガチャピンの調子が戻ってきたこと、長谷部のキャプテンシーなどもそれらを支える重要な要素であることを忘れてはいけません。
で話は戻りますが、このように好回転を始めたチームは、戦術からメンバーから一月前とは大きく異なるのです。現在の中心選手は本田。かつては中村。二人のポジションは若干被ります。これらのことから、「本田=今の強い日本」「中村=悪かった時の日本」という印象作用が働いてしまいます。そのため、中村が外されたから日本はよくなった、とそこまでの過程を完全に度外視した結果論での見方が趨勢を極めている現状なのです。そもそも一概に比較することができないにも関わらず。

嘆かわしいですね。スケープゴートを立てて、現在と過去を切り離し責任は一人に追いやって、誰もが我が知り顔で評論を行います。いわく、茸はダメだ。茸のプレースタイルは古い。と…
これは、民主党に国民が一斉に流れた時と同じ心理作用が繰り返されていると言っても過言ではないでしょう。我々は学ぶことができていません。残念です。
実際に見ている人もいない人も、仕入れる情報元はネットやテレビのニュースか人づてに聞く話かと思いますが、茸悪者説には聞き流す態度をとっていただけると僕としてはうれしいです。プレーヤーにできるのは求められたプレーをできるように努力し実現することだけです。決定権をもつのは監督なのです。そして監督というのはいつでもとても孤独です。