嬉遊照覧Zeitgeist

(その二)『女大学』の時代

かたい武家の家や、商家でもしっかりした家風の家、郷士、土地の旧家などで、小ゆるぎもしない古くからのしきたりで、時勢の変遷などよそにみて、格式通りの生活をつづけ、冠婚葬祭も慣例に従って、『女大学』はそこで重要な、女のありかたの支えになってい…

(その一) 白樺派の時代

『白樺』の標榜する人道主義は安易な虚言でしかなかったが、それは局外者の冷静な観察によってもたらされた意見である。素朴な宗教的感情のように、理想は実現の可能性を本気で信じたときだけその深淵の口をぱっくりと開けた。自己主張を敬虔と熱狂という宗…